緑の月の読書日記

剣と魔法とドレスの世界が大好きです。ラノベと漫画のレビューを載せていきます。

新装版 北の砦にて1

日本で暮らしていた女の子が、雪の精霊に転生したお話です。1巻は「初めてのお留守番」編ですね。

 

ミルフィリアは、母である雪の精霊と二人暮らし。真っ白なキツネの姿をしている。ある日、「王都に出かけてくる。」と言い残しては母出かけてしまう。

 

お留守番を言いつけられたミルフィリアだけど、一人で雪山で待つには寂しすぎて、母を追いかけて下山するが、王都は遠い。人間の子供に追いかけられ、野犬に追いかけられ、逃げまどっている内に、騎士の砦に逃げ込んだことから騎士団との交流が始まります。

 

とにかくモフモフの主人公と、隻眼の騎士、そして周囲の騎士たちとの交流が見どころです。日本人の感覚は残しつつ、野生の警戒心もあってなかなか周囲になつけない主人公。雪の精霊とは知らず、とにかくモフモフと愛くるしい主人公が可愛くて仕方がない周囲。でも、いつかは野生に返さなければならないから、あまり情を移してはいけないとも思っていて。一方で、王都から帰ってきた母スノウレアは、娘がいないことに気が付いて。。。。

 

誰も悪い人はおらず、とてもやさしい世界観に癒されます。一人で山から出て世界を広げた主人公と、温かく受け入れた騎士団のやり取りが本当に素敵で、いつまでも読んでいたい作品です。「新装版」と出ているので、おそらく旧版があったうえで出版されたのだと思うのですが、その辺の経緯はよくわからず。この手の転生物は、売れたら類似の作品が出ることも多いですが、本作品は唯一無二ですね。

 

イラストの草中さんの表紙や挿絵も、マッチしています。巻末に入っていた絵日記は秀逸でした。