緑の月の読書日記

剣と魔法とドレスの世界が大好きです。ラノベと漫画のレビューを載せていきます。

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す8

新刊帯のサブタイトルは「道化師たちと聖女デビュー!!!」

、、、はい、もう訳が分かりませんね。

でもそんな事情も、フィーア(主人公)ならしょうがないよね。と丸っと思えてしまうのが本作品の魅力です(断言!)。

 

これを読むことを楽しみに、まとまった休暇まで読まずに貯めこんでいたので、感慨もひとしおです。良作に巡り合えた時って、本当に幸せですよね。一気読みしたので、そのうちZEROの方の感想も書けたらいいなと思ってます。

 

前巻に続き、「ナーヴ王家編」の第二弾です(作者さん自身が、後書きで使用していたのでこちらの名称にします。)。なお、本巻では終わりません。引っ張りますね。

また、「大聖女の髪型」「王家の婚姻問題」「十年前の出来事」「誰が王大后を迎えに行くか」など、基本的に本作で解決しないエピソードが、数多く出現しました。前巻に続き、新キャラクターの登場尾多いです。次巻への布石か、作品全体への布石になるかは未知数の部分が多いです。

 

作者さん自身が、「ナーヴ」王家編とわざわざ書いてくれたということは、今後は、他国の王家の話も出てくることでしょう。

 

シリアスな部分と、道化師たちと聖女デビューする部分の落差がすごいですが、緩急ついていることで、疲れることなく最後まで読ませてくれます。

また、本編は比較的短めで、サイドストーリーが多めです。

個人的には、本編に関わるか関係なく、各人のエピソードが読めるのは嬉しい限り。

じゃんじゃん書いてほしい。

 

今回の発売に合わせて、第二回キャラクター人気投票が行われ、1位を取った人のショートストーリーを書いてくださるそうなので、次巻も楽しみです。

龍のいとし子

戌島百花さんの作品です。

 

別シリーズですが、「払暁」を読んですっかりファンになってしまいました。この作者さんの作品であれば、間違いないと思って購入。やっぱる、間違いなかったです(笑)。

 

両親を亡くした主人公の前に、美貌の高校生周が現れます。亡くなった父親の知り合いらしく、主人公のことも知っているようだが、主人公は記憶になく。葬儀の席で、謎の化け物に襲われたことから、強制的に二人の逃避行が始まるが、、、主人公が、自身の知らなかった父親の顔を知ると共に、大切なものを発見する物語です。

 

払暁と異なり、異世界転生ではなく、現代社会に生きる中で出会う異形の者との交流が主題となります。作者さんらしい、静謐な空気の中で、主人公の自分を見つめなおし、過去の自分との出会い、そしてそこから大切なものを見つけていくのが主題となります。

 

払暁の時も思ったのですが、己に対して、とても厳しい主人公だなと。知らない内に護られていた、気づかない内に助けられていた、、、もちろん護られるのはありがたいし、助けてもらったらお礼を言いたいし、自分も助けたいけど、そんなに自分を責めることかな。ありがとう、じゃあダメなのか。作者さん自身の好みというか。これはもはや作者さん自身の性格なのでは、と思いつつ。あやかしの存在ももちろんですが、そんな風に、自分のために他社が傷ついたことに心を痛める、優しくて誠実な主人公が本作品の最大の世界観ですね。とてもやさしい物語です。

 

おしむらくは、前後編ではなかったことでしょうか。おそらく1冊にまとめるためだったと思うのですが、物語の進展がやや早急に感じました。作者さん自身も、1冊にまとめるためにかなりエピソードを削ったと言っていたので、本当はもっと沢山エピソードが盛り込まれる想定だったのでしょうね。

 

脇道のエピソードが多いとだらける一方、本筋に関係ない話が全くないと、それはそれで主人公の心の動きがどうしても早急になる。ここら辺はバランスの問題だし、作者さんの書き手としての力量や、物語の世界観や、読者の好みによっても異なるから正解はないんですよね。物語の性質上、続編が出る可能性は低いと思うんですが、機会があったら、省略したエピソード分のショートストーリーとか載せてくれないかな。

 

たとえ1冊の物語でも、書ききれないくらいのエピソードがある。それくらいキャラを作りこんで、初めてこれだけ読み応えのある物語になるのだなと、感服しました。

新装版 北の砦にて2

1巻に続いて、2巻目のレビューです。

 

前回が「初めてのお留守番」(待ってないけど)だったら、今回は「初めてのおつかい」編ですね。

 

ミルフィリアは、母上の言いつけで、国王陛下へのお手紙を手に、単身王都を目指します。ただ、その道程は雲行きが怪しく、道中は精霊の子を狙う誘拐犯と思しき影も現れて、、、、、そもそも、なぜ母上は単身のお使いを言いつけたのか、砦の騎士たちはミルフィリアを一人で行かせるのか。

 

本作の特色だと思うんだけど、物語の主人公って、一生懸命の頑張り屋さんが多いと思うんだけど、本作の主人公はとかく努力とか頑張ることが嫌い、そして独りぼっちが嫌い。そもそも一人で王都なんて、まっっっったく行きたくないし、途中で道草食ってサボってばっかり。真っ白でモフモフでなければ、許されない行いですね(笑)。

 

そんな訳で、道中は遅々としてはかどらず、脇道にそれては遊び、もらったおやつは早々に食べつくし、なぞのぬいぐるみに怯えながもお使いは進みます。個人的にはクガルクと二人の掛け合いが、可愛かったです。クガルクは、だいぶ精神的に大人ですね。

 

本作らしく、謎はありつつも、温かな人間関係が主人公を包みます。母上だけだった世界に、北の砦の騎士たちが加わり、クガルクが訪れ、少しつミルフィリアの世界が広がるやさしい物語です。

 

すみません、金利ってなんですか?

スタンフォード式最高の睡眠に続く、サンマーク出版の本です。

 

スタンフォード式を読んでいた時に、本に挟まっていた出版社のベストセラーに記載されていたのが気になって買ってみました。

 

実は、私はこの本を実際に手に取るまで内容を勘違いしていました。「金利」に関して特化した本(金利がどのように決まるのかとか、債権と金利の関係とか、中央銀行との関係とか)だと思ってたんですよね。米国との為替差益が激しかった昨年の株式市場から、興味を持って手に取ったのがきっかけです。

 

手に取って確認した内容は、次の通りです。

金利とは何か(銀行預金における金利、福利と単利の違い)

源泉徴収で引かれるもの

株式投資

・税金

・銀行の役割

・借金

・保険

・年金

 

題名の金利に触れていない訳ではないのですが、当初私が想定していた内容にはかけらも触れておりませんでした(苦笑)。

 

本書は、初めにで企画者の方記載していたとおり、お金のことについてあまり興味がないまま社会人になってしまった人が、広く浅く知っておきたいお金の知識全般、といった感じです。明確に記載されていませんが、おそらく対象は20代会社員や、就活を終えた大学生くらいで、会社において経理や給与計算以外の部署の方向けの一般教養といった感じです(業務として対応するには、浅すぎるかな。)。御自身で確定申告をするような方だと、今更な内容が多いのではないかと。

 

気が付いた時点で、実際に購入するか迷ったのですが、せっかく興味を持って探したので、最後まで読んでみました。マネー系は嫌いではないので、自分でもある程度調べたことがあるので、正直、ちょっと内容が浅いかなと思う分野もあったのですが、この手調べ物は、自分が興味がある分野のみどんどん深堀してしまうので、客観的に第三者が「この程度知ってた方がいい。」と思う本を読んでみるのもありなのかなと思ったんですよね。

 

実際に読んでみると、「給与所得控除」と「所得控除」の違いや、標準報酬月額の決まり方など、混濁していた部分もあったので、いい整理になりました。

 

この本を読んでみて、個人的に興味深かったのが、知識付与系の本って、知識を詰め込めばいいというものではないなと思ったことです。この本の厚さで、この本のお題で、この作者さんであれば、仮に「金利」だけに絞らなくても、もっと掘り下げて深い話を書くのは容易だったと思います。話の冒頭に、いちいち作者と編者の会話を入れるところも、個人的にはまどろっこしい(苦笑)。

 

ただ、もしその間がなくて、最初から最後まで体系的に習得できる知識が詰まっていたら、果たして私はこの本を読み終えられただろうか?と考えると、自分自身若干疑問符でした。冒頭にたいそうなことを書いたけれど、私にとって本を読みことは、知的好奇心を満たすことではあるけれど、あくまで娯楽であり、仕事の知識として求めている訳ではない。そして、この本を手にするほとんどの人はそうだと思う。

 

だとすると、この本に求められているのは、ページに収められる範囲で知識を放り込むことではなく、休日に力を抜いた状態でもぐいぐい読み進められる肩のこらない感じなのかなと思いました。飲み物で言うなら、濃いお抹茶ではなく、ペットボトルのお茶のような。いいか悪いかではなく、求められている濃度が異なるということです。

 

そういう意味では、日常に溶け込んだ形での疑問と、それに答える形での知識付与、説明しつつ細かいところまで言及しすぎない、ということはなまじっか知識がある人にとってがは逆に難しいことなのかもしれない思いました。この本が、ベストセラーになっているのは、そういう意味でとてもバランスがいいということなんだと思います。私自身も、知識付与という意味だけではなく、文字と知識量のバランス、肩がこらない読み物として、マーケティングという意味でとても勉強になりました。

 

 

 

新装版 北の砦にて1

日本で暮らしていた女の子が、雪の精霊に転生したお話です。1巻は「初めてのお留守番」編ですね。

 

ミルフィリアは、母である雪の精霊と二人暮らし。真っ白なキツネの姿をしている。ある日、「王都に出かけてくる。」と言い残しては母出かけてしまう。

 

お留守番を言いつけられたミルフィリアだけど、一人で雪山で待つには寂しすぎて、母を追いかけて下山するが、王都は遠い。人間の子供に追いかけられ、野犬に追いかけられ、逃げまどっている内に、騎士の砦に逃げ込んだことから騎士団との交流が始まります。

 

とにかくモフモフの主人公と、隻眼の騎士、そして周囲の騎士たちとの交流が見どころです。日本人の感覚は残しつつ、野生の警戒心もあってなかなか周囲になつけない主人公。雪の精霊とは知らず、とにかくモフモフと愛くるしい主人公が可愛くて仕方がない周囲。でも、いつかは野生に返さなければならないから、あまり情を移してはいけないとも思っていて。一方で、王都から帰ってきた母スノウレアは、娘がいないことに気が付いて。。。。

 

誰も悪い人はおらず、とてもやさしい世界観に癒されます。一人で山から出て世界を広げた主人公と、温かく受け入れた騎士団のやり取りが本当に素敵で、いつまでも読んでいたい作品です。「新装版」と出ているので、おそらく旧版があったうえで出版されたのだと思うのですが、その辺の経緯はよくわからず。この手の転生物は、売れたら類似の作品が出ることも多いですが、本作品は唯一無二ですね。

 

イラストの草中さんの表紙や挿絵も、マッチしています。巻末に入っていた絵日記は秀逸でした。

JKハルは異世界で娼婦になった1・2(コミック)

ノベル版も出ているそうですが、今回はコミック版を購入したのでコミック版のレビューです。一気読みしたので1巻2巻まとめた記載になります。

 

女子高生ハルが、異世界に行って娼婦になる話です。タイトルまんまですね。タイトルから分かるとおり、大人な描写も多く含みます。ダークな描写もあるので、読むときはそれなりに元気な時がお勧めです。

 

転生先は、剣と魔法の世界で、時代的には中世のヨーロッパ的な感じです。異世界系の話は、今の世界での知識や情報をもって行ったり、異世界に行く過程でチートな能力をもらってたりして、異世界では無双したり、イージーモードで生きる展開が多い中で、本作はなかなかダークな展開を迎えます。

 

剣も魔法も使えず、特殊能力がない女性が転生して、手っ取り早く稼ごうと思ったらこうなるよね、という感じです。これは転生した世界が悪いわけではなく、戦って生き残ることが必要な世界では、どうしたって特殊能力があるか、腕力が強い方が優位に立つ。弱い立場で生き残るためには、それなりに覚悟や対価が必要なわけで。厳しい社会であるがゆえに、弱者として生き残るのは大変であることは、誰かが悪いわけではなく社会としての必然としてそこら辺は淡々と記載されています。

 

一人で雨宿りすらできない世界。男尊女卑だったり、水商売をする女性に対する偏見もありつつ、その中でも明るく冷静にしたたかに生き残ろうとする主人公と、厳しい世の中だからこそのやさしさが染みたりもして、時々ほろりとさせてくれる作品です。

 

これは異世界の出来事ととして描かれているけど、少し時代をさかのぼれが日本でもヨーロッパでも同じだったんだろうな、という感じです。時々描写される主人公の現世時代との対比や、日本で生活していて頃の話を読むと、何が違うんだろうと考えさせられます。

 

異世界転生物は、ある程度類型化していて、多少展開は違えどパターン化しつつある中で、明らかに異彩を放つ本作品。続刊も刊行されているので、主人公がどこに進むか楽しみです。

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す7

王宮編、スタートです!(勝手に命名

 

ザビリアを連れて、無事に霊峰黒獄から戻ってきた主人公一行。主人公を待っているのは、国王との面談になります。

 

前巻で魔人を倒したことを皮切りに、騎士と魔人の全面バトル・・・とはならないのが本作の醍醐味。世界観は広がっていきます。騎士団を超えて、王宮へと。

 

いや、確かに前から振りはありましたね、国王との面談。王宮を中心に配属される新人騎士と、何故か一人一人面談する国王。その真意はいかに・・・?サヴィス団長とシリル団長を引き連れて(?)、面談に挑むフィーアが取った行動とは?

 

前巻の魔人とのバトルの描写も見事でしたが、今回のカードゲームの息もつかせぬ展開もお見事の一言!おとぼけた主人公の性格と、緊迫感あふれる場面のコントラストが本作品の魅力の一つだと、再認識した作品でした。

 

今月には続刊が出るようで、楽しみです!