すみません、金利ってなんですか?
スタンフォード式を読んでいた時に、本に挟まっていた出版社のベストセラーに記載されていたのが気になって買ってみました。
実は、私はこの本を実際に手に取るまで内容を勘違いしていました。「金利」に関して特化した本(金利がどのように決まるのかとか、債権と金利の関係とか、中央銀行との関係とか)だと思ってたんですよね。米国との為替差益が激しかった昨年の株式市場から、興味を持って手に取ったのがきっかけです。
手に取って確認した内容は、次の通りです。
・源泉徴収で引かれるもの
・株式投資
・税金
・銀行の役割
・借金
・保険
・年金
題名の金利に触れていない訳ではないのですが、当初私が想定していた内容にはかけらも触れておりませんでした(苦笑)。
本書は、初めにで企画者の方記載していたとおり、お金のことについてあまり興味がないまま社会人になってしまった人が、広く浅く知っておきたいお金の知識全般、といった感じです。明確に記載されていませんが、おそらく対象は20代会社員や、就活を終えた大学生くらいで、会社において経理や給与計算以外の部署の方向けの一般教養といった感じです(業務として対応するには、浅すぎるかな。)。御自身で確定申告をするような方だと、今更な内容が多いのではないかと。
気が付いた時点で、実際に購入するか迷ったのですが、せっかく興味を持って探したので、最後まで読んでみました。マネー系は嫌いではないので、自分でもある程度調べたことがあるので、正直、ちょっと内容が浅いかなと思う分野もあったのですが、この手調べ物は、自分が興味がある分野のみどんどん深堀してしまうので、客観的に第三者が「この程度知ってた方がいい。」と思う本を読んでみるのもありなのかなと思ったんですよね。
実際に読んでみると、「給与所得控除」と「所得控除」の違いや、標準報酬月額の決まり方など、混濁していた部分もあったので、いい整理になりました。
この本を読んでみて、個人的に興味深かったのが、知識付与系の本って、知識を詰め込めばいいというものではないなと思ったことです。この本の厚さで、この本のお題で、この作者さんであれば、仮に「金利」だけに絞らなくても、もっと掘り下げて深い話を書くのは容易だったと思います。話の冒頭に、いちいち作者と編者の会話を入れるところも、個人的にはまどろっこしい(苦笑)。
ただ、もしその間がなくて、最初から最後まで体系的に習得できる知識が詰まっていたら、果たして私はこの本を読み終えられただろうか?と考えると、自分自身若干疑問符でした。冒頭にたいそうなことを書いたけれど、私にとって本を読みことは、知的好奇心を満たすことではあるけれど、あくまで娯楽であり、仕事の知識として求めている訳ではない。そして、この本を手にするほとんどの人はそうだと思う。
だとすると、この本に求められているのは、ページに収められる範囲で知識を放り込むことではなく、休日に力を抜いた状態でもぐいぐい読み進められる肩のこらない感じなのかなと思いました。飲み物で言うなら、濃いお抹茶ではなく、ペットボトルのお茶のような。いいか悪いかではなく、求められている濃度が異なるということです。
そういう意味では、日常に溶け込んだ形での疑問と、それに答える形での知識付与、説明しつつ細かいところまで言及しすぎない、ということはなまじっか知識がある人にとってがは逆に難しいことなのかもしれない思いました。この本が、ベストセラーになっているのは、そういう意味でとてもバランスがいいということなんだと思います。私自身も、知識付与という意味だけではなく、文字と知識量のバランス、肩がこらない読み物として、マーケティングという意味でとても勉強になりました。